特 集
| ◎震災特集 『遺志を後世に伝えよう』 |
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阪神大震災が起きて十三年が経った。十三年前となると、本学の一年生は六歳頃。また本学は兵庫県出身の学生だけではない。震災の記憶が鮮明に残っている学生は少なくなってくる。だからこそ、震災の経験、教訓を伝えていく工夫が必要となるだろう。本紙では、本学が阪神大震災を直撃した大学の一つとして、得てきた教訓等を次世代に、そして世界に伝えていく使命があると考え、今回、神戸市と炊き出しを行う本学の学生にお話を伺った。
■神戸市企画調整局にインタビュー
――神戸市としてまちづくりで取り組んでいることを教えてください。
阪神・淡路震災で、命の大切さ、思いやりの大切さ、人と人との絆の大切さ、感謝の気持ちという教訓を得ました。
現在、神戸市の人口は約百五十三万人ですが、約三分の一は阪神・淡路大震災後に転入してきたり、生まれたりした方で、震災を経験していません。
東南海・南海地震が近く発生すると言われていますが、震災の経験や教訓を伝えていくことは、阪神・淡路大震災の被災地・神戸としての責務だと考えています。
震災の経験や教訓を踏まえて、全ての小中学校とは言えませんが、現在、防災訓練を行う際、小学校やその地域が連携して、いざという時のことを体験しています。また神戸市は総合防災訓練を毎年実施しており、必ず学校も参加しています。その取り組みの中で、有事の際の対応や安全性の確保などについて学び、実践していくことは大変効果があります。これからはさらに地域の皆さんと力を合わせ、震災を経験していない子供たちに対しての防災に関する取り組みを続けていく必要があります。
また、防災の活動をベースにして始めたことが、防犯活動にも広がりを見せ始めています。あわせて、例えば環境問題や高齢者の見守り活動などについても、子供たちが関心を持つことが大事であるため、これらの活動も踏まえ、今後幅広くまちづくりの取り組みを行っていきたいと思います。
被災者の方が災害公営住宅に入居されたときに、それまで仮設住宅にいたため、なかなかその地域になじめないという状況がありました。そういう状況ではお互いのきずなが築けないので、行政も入り、他の地域のボランティアの方や民生委員の方も入って、コミュニティが非常に強いものになってきたという実例があります。これからの地域というものは、継続して強いコミュニティをつくっていくことが非常に重要だと感じています。
市民の皆さんはこういったさまざまな取り組みを行いながら、まちそのものを早く活力のあるまちにしたい、という思いで今までずっと頑張ってきています。
現在、これからの神戸づくりに向けた市政運営の基本姿勢として「協働と参画のもとに、市民のくらしをまもる」を掲げ、二〇一〇年の神戸の将来像である「豊かさ創造都市こうべ」の実現に向けて、「神戸二〇一〇ビジョン」の達成に取り組んでいます。このビジョンの達成には、市民のみなさんとの協働と参画が必要です。これからの神戸づくりを、一人ひとりの力を集結させ、ともに進めていきましょう。
――学生に対して期待することは何ですか。
毎月、三宮周辺の清掃活動をしている「まち美化エンジェル」というグループがあります。このグループは神大生が中心となって活動しているのですが、この活動により、若い人だからこそ、与えられる力があることを感じます。
二〇〇五年九月、旧灘区役所庁舎跡地(神戸市灘区神ノ木通)二階約三百五十平方メートルを有効利用し、のびやかスペース「あーち」がオープンしました。これは、神戸大学大学院総合人間科学研究科ヒューマン・コミュニティ創成研究センターが設立したもので、神戸大学と神戸市が協定を結び、協働で実践的研究・地域貢献の場を設立することに合意し、進めてきたものです。ここでは、神戸大学発達科学部の教員の他、灘区職員、地域でさまざまな活動を展開している市民が参加しています。
このように、神戸大学、地域の方々、神戸市が連携することが大事で、こういった取り組みが防災や安全・安心なまちづくりにつながっていきます。
これからも神戸大学の取り組みにとても期待しています。地域の方々と連携した経験は、これから社会に出てからの糧になると思いますので、学生の皆さんも専門の勉強をしながら、地域の方々といっしょにまちづくりに関わってみませんか。
■学生へのインタビュー
水道筋商店街で炊き出しを行う学生グループ「JAC(Joyful Air Creator)」
代表 杉山 健(農学部・四年)
――炊き出しの活動をするきっかけを教えてください。
地域の方に声をかけてもらって始めました。今年で三回目です。
――活動して感じることはありますか。
メンバーで震災を経験した人はいないので、正直、活動の意味がつかめない思いはありました。
しかし、涙ながらに喜んでくれる方や、感謝の言葉をかけてくださる方などに出会い、こういった活動の必要性を感じました。
――印象に残っていることはありますか。
炊き出しをやることを商店街の方に話したら、お米を提供してくれたり、わざわざ炊き出しのスープを作ってくださる方など、多くの人たちが協力してくれたことです。
震災を経験した方たちの震災に対する思い入れを感じました。
――今後、展開していきたいことはありますか。
サークルは今年で四年目になります。清掃活動やフリーマーケットといった商店街での活動に加えて、ぜひ大学内での活動をしていきたいですね。
たとえば、商店街のイベントに大学サークルを渉外したり、学内での清掃などです。そのためには、たくさんの新入生と一緒に活動する必要がありますね。
■地域の方へのインタビュー
神戸市灘区在住の女性
実家が灘区の寺なのですが、十三年前の阪神大震災で全壊しました。家族はケガすることなく、みんな避難しました。そして一年半後、再建しました。
ただ、思い出すと、本当に涙が出てきます。単純に悲しいという感情ではないのですが、ただただ涙しかありません。生かせてもらっていることに、心の底から感謝の思いが湧いてきます。
この震災を忘れないでほしいですし、関心をもってほしい。そして経験を引き継いでほしいのです。多くの人の犠牲の上に私たちは生きています。そのことを忘れないでほしいのです。
本当に私は地震に対して恐怖心があります。そんな中、炊き出しの活動はありがたいです。少しでも気持ちが慰められます。
ただ、炊き出しの活動に対して、関心を持たずに素通りする人には、もう少し気持ちを汲んでほしいと思います。「ありがとう」の気持ちを、一言投げかけてほしいのです。感謝の言葉がないのが、本当に心配です。
震災で学んだことが、きずな。そのきずなが薄れているような気がします。
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